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MacでのWMV9(Windows Media Video 9)コーディック変換!

WMV9とは、WMV形式の圧縮符号化方式(コーディック)の一つである。Windows Media Video 9(FourCC:WMV3)は、現在のWMV形式の標準的なコーディックだが、映像制作の現場では、放送・再生メディアに関わらず様々なシーンでWMV形式でのデータ提出が求められる。クライアントや代理店関係者の多くがWindows環境だからだ。昨今、急激に消費されるようになったWEBムービーや、デジタルサイネージの場合、納品形式はWMVかMP4が多い。しかし、納品がDVDだったとしても「データ確認用にWMVが欲しい」という要望は多い。Mac環境でもWMV変換は可能だが、これには様々な問題が発生する。WMVはファイル形式なので、これに格納するデータを構成する複数のコーディック(WMV7、WMV8、WMV9 Standard 、WMV9 Advanced)や、エンコーディング手法がある。現状のMac環境ではWMVを出力できるソフトウェアの性能が限られているため、こうした問題点を検証したい。

Macintosh(64bit環境)では、難易度が高いWMVコーディック変換例

以下の条件でのデータ提出を求められた経験がある。MAC(64bit環境)版の複数のコーディック変換ソフトを試したが結果は以下の通りである。(2012年11月現在)

Windows環境なら、何でもない一般的なデータ形式である。しかし、Macintosh(64bit環境)版の一般的なノンリニア編集ソフトに同期しているエンコーディングソフトでは、WMVそのものが出力できない。そこで別途でWMV対応のエンコーディングソフトを使用することになる。Mac環境での代表的なエンコーディングソフトとして、Telestream社の『Flip4Mac WMV Studio シリーズ』、『Episodeシリーズ』が業務用途としても多用されている。Flip4Mac WMV Studio Pro HDなら上記条件で出力できるが、残念ながら32bit環境でしか動作しない。Episodeシリーズは64bit環境で動作するが、例えばEpisode V6 for MacはWMV9でのCBRの2パスエンコードに対応していない。Episodeシリーズの上位ソフトやSorenson media社の 『Sorenson Squeeze 8.5』もWMV9に対応しているが、いずれも詳細設定の検証が必要な点と、高額な業務用ソフトのため費用対効果を考慮しなくてはならない。

Mac(64bit環境)では、上記条件をクリアできないのか!?

ネット検索で簡単に探せる廉価な動画変換ソフト『Wondershare スーパーメディア変換』『動画変換 for Mac』『Any Video Converter Free for Mac』などを順番に試してみた。しかし有償無償を問わず、5本ほど試した時点で諦めてしまった。なぜなら、すべてがWMV8(FourCC:WMV2)でしか出力できなかったからだ。この時点で、上記条件におけるMac(64bit環境)でのWMV9変換は見送った。しかし、WMV9が絶対条件ではないならAny Video Converter Free for Macが利便性が高く品質面でも推奨できる。通常、WMV9でないと納品データが受理されないというケースは少ない。WMV8でも大抵は問題ないのだ。

Winでのコーディック変換

98/Me/NT/2000/XP/Vistaなら『Windows Media Video 9 VCM』で条件を満たしたエンコーディングができる。しかし、筆者のWIN環境はWindows 7(64bit)である。それを踏まえると、まずは『Windows Live ムービーメーカー』。これはMacで出力されたMP4を認識する。Adobe Premiere ProでH.264/mp4で出力したデータをそのまま読み込めるが、CBRは1パスエンコードしか対応していない。Episode 6でもそうだったが、CBR/2パスがハードルとなっている。次に『Microsoft Expression Encoder 4』。これも非対応だと、上位ソフトのExpression Encoder 4 Pro と、他のソフトも含めて順番で試すしかなくなる。

Expression Encoder 4で、解決できるのか!?

Expression Encoder 4は、MP4は正常に認識できない。読み込めるが出力でエラーが発生する。その代わり、QuickTime (Windows)をインストールしておけばMOVを認識する。すべてAfter Effectsで制作したデータだったので、そのままMOVで出力してExpression Encoder 4に読み込む。そしてエンコーディング。結果は…

あっけなく、すべての条件をクリアしたのだった。WMV9/CBR/2パスエンコードもクリア。たかがWMV変換されどWMV変換に、どれだけの時間と労力を費やしたことか…。原因はMac(64bit)で非対応なはずはない!という希望的観測が仇となったわけだ。

EE4
『Microsoft Expression Encoder 4』
QuickTimeをインストールしておけば、MOVが認識できるためMacとの親和性が高い。

結論

Macintosh(64bit環境)ユーザーは、業務用途でWMV変換をする際は、迷わずWindowsを使った方がよいのではないだろうか。何も、Windowsパソコンを導入せずとも、ブートキャンプ機能を使うという手段もある。Episodeやスーパーメディア変換でも可能だが、上記条件のようにデータの提出条件を満たせない場合もあるからだ。また低コストの動画変換ソフト(Mac版)では、フルハイビジョン出力ができないものも多い。単なる確認用や「WMV形式ならコーディック、エンコーディング手法は問わない」という条件なら、WMV8(WMV2)対応のフリーソフトウェアでも問題ない。一定以上の品質で再生できればよいのだ。

最後に、After Effectsで低圧縮出力したMOVデータと、Expression Encoder 4で納品条件を満たしたWMV9データを比較してみた。さすがにMOVとは比較にならないと思ったが、WMV9は赤系のモアレやシャドウノイズが少々発生していたが、それなりのクオリティで出力された。また、フリーウェアであることを考えると汎用性に優れたエンコーディングソフトである。最終的には有償版のExpression Encoder 4 Pro が比較的安価だったため、そちらを導入して出力した。
2012年11月

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