技術ファイル|映像収録(撮影)編

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3.0型有機ELモニター(GH3適合)の簡易遮光フード

晴天の野外撮影では、太陽光の影響で液晶モニターの露出が正常に認識できなくなる。ミラーレス一眼は標準EVF(電子ビューファインダー)が装備されているが、あくまでもスチル用なので、ムービー撮影時の利便性は低い。通常、外付けのEVFや遮光フード付きの外部モニターを使用するが、ここでは、ちょっとした野外撮影に便利な3.0型有機ELモニターに適合する遮光フード「HOODMAN HD300」を紹介したい。(実売3,000円程度)

HOODMAN HD300
HOODMAN HD300(2.5〜3.0型対応)

フリーアングル有機EL(OLED)モニター

メーカーのキャッチコピーは「明るい太陽光の下で高精度フレーミング」だが、晴天の野外ではモニターが透過光である以上、少なからず太陽光の影響を受ける。シネスタイルなら、外部モニターにロングタイプの遮光フードを装着するか、ALPHATRONCineroidなどのEVFを使用すればよい。しかし、それほど太陽光の影響を受けないロケーションや、ENGの場合、標準仕様の3.0型モニター用に遮光フードが装着できれば便利である。何せ、GH2はHDMIケーブルにモニターが干渉し、モニター角度を斜めにできないため、遮光フードを効率的に使えないのだ。(HDMI端子使用時に限る)GH3ならHDMIケーブル接続時でも、45度程度まで回転するので、サイズが適合するなら遮光フードが装着できる。

HOODMAN HD300
モニターを挟み込んで下部をマジックテープで止める仕様。
モニターに直接マジックテープを張らないため汚くならない。

有機EL(OLED)EVFの性能は?

筆者はムービー撮影時でもスチル撮影を併用する。ロケやスタジオでも、クライアントから「写真も押さえておいてくれますか?」と依頼されることも多く、シーンによっては素材として写真も必ず撮る。GH1、GH2はEVF性能が悪く、防犯カメラのモニターの映像を見ているようだった。決して大袈裟ではなく、ファインダーを覗く度に精神的に萎えたものだ。それらと比較すればGH3は有機EL仕様となり、視認性が大きく向上した。ピントのヤマも掴みやすくなり、やっと「マトモに使えるEVF」に格上げされた感じである。しかし、あくまでもスチル用のEVFのため、一時的な露出確認やハンドスタイルでの撮影以外では、ムービー用途では使えない。

無いよりは、ずっとマシなHOODMAN HD300

5〜7型クラスの外部モニターの標準遮光フードは、晴天下では光線漏れを起こすことが多い。特にSONY CLM-V55は民生仕様のため、下からの反射光をモロに拾ってしまい、遮光効果が低い。まだMarshallの遮光フードの方がマシだが、それでも日差しが強い時は黒ケント紙の自作フードで補っている。HOODMAN HD300は四方の高さが65mmあり、しかも3.0型はモニター面積が小さいため、光線漏れに悩まされず十分に使える。角度によって見づらい場合は、片手で遮るか覗き込めばよい。簡単に取り外して折り畳めるので、常にカメラバックに入れておけば必要な時に使える優れモノだ。

HOODMAN HD300
全面
HOODMAN HD300
後面
HOODMAN HD300
2.5〜3.0型対応だが、GH3では左上と下部が若干ケラれる。

総括

ルーペタイプのHOODMANもあるが、ドキュメンタリー性の高いENGスタイルでは不利である。ルーペを覗いていると、当然ながらルーペの中に集中してしまう。現場ではカメラを回している最中に、すぐ隣にドラマチックな被写体や情景が現れたり、また危険な状況が発生したりする。特にワンマン撮影の場合は配慮しなくてはならず、基本的に出力モニターの内外を両目で確認しながら撮影するのが通常である。そのためフードタイプの方が都合がよい。HOODMAN HD300はシンプルな遮光フードだが、あれば便利なので推奨したい。

2013.03

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